自分にしか分からない世界
自分にしか分からない世界

自分にしか分からない世界

今週、香山選手と福田選手がフランスへ羽ばたきます。

19歳、それは自分がAG2R la Mondialeの下部組織に入り、ツール・ド・フランスが見えてくるような位置に立った年でもあります。

その当時の自分は、将来のことですごく悩んでいました。「仕事としての自転車競技」の真実と、自分の中の野望を同時に知り、結局はプロ選手を諦める決断に繋がりましたが、開いたままにしてしまったこの道の先を、この二人が辿ってくれることがその当時の自分の運命だったのかもしれない。

AG2Rの下部組織では、1月末までにWTチーム専属の医者に予約を取って病院でVo2max測定テストを受ける義務があります。特殊的な固定ローラーのような機械の上で、倒れるまで強度を徐々に上げていきます。400wの段階をギリギリクリアできたのが当時の自分の限界でした。「お前は才能に優れているとは言えないけど、サミュエル・デュムランは60のVo2maxでツールでステージ優勝をしてるからね。この数値でプロになれないとは言い切れない」のが医者の言葉でした。そのときは、悲観的に受け止めて絶望したのを良く覚えています。今になって、本当は凄く希望の湧く言葉だったのではないかと思います。プロになるかどうかは、そういうところで決まるんだな、って。それが、正にその言葉の意味だったでしょう。

19歳の自分が持っていなかったこの一つを二人が手にしています。その一つを、今まで通りに磨き続けていけば、自分を上回ってくれるかどうかではなくて、それがいつになるか、そしてどれぐらい上回ってくれるかだけの問題です。今のところ、自分にしか分からない世界がまだ残っていますが、その世界もあと少しで消えるものでしょう。

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