川島町クリテリウム
川島町クリテリウム

川島町クリテリウム

昨日、埼玉県川島町の方で開催された川島町クリテリウムに参加してきました。結果は、4年ぶりの単独優勝でした!

力での勝利に見られただろうと思いますが、実はそうではなく、強風の中での技術、そしてチームメイトの高木三千成とのチームプレイがなければ、優勝はできませんでした。また、相手の技術不足で勝ったといっても間違いないですが、どういうことですか??と言われるだろうなので詳しく説明しようと思います。

レース展開  3km*12周=合計36km  コースは真平坦だが、コーナーが多く、強風もあり割ときついコース。

最初の1周はローリングスタートかと思ってしまい、5人程の集団を逃がしてしまう。すぐに前方上がり、逃げにブリッジをかけコントロールライン通過時は逃げ集団に。

ローテーションに加わり、チームメイトの高木三千成も単独でブリッジをかけるので最後の20メートルは後ろに下って先頭まで引っ張ってあげる。そこからローテーションのペースを上げて、なんだかんだヴェントス2人とTRC Panamaredsの中井選手だけに絞られる。

2対1状態になってきたので、後ろとの差が安定したと判断してから、ガンガンと仕掛ける。1回、2回、3回逃げだすも毎回1.5キロぐらいで中井選手が追いついてくる。それでチームメイトの高木が遅れて、1対1状況に。そこで後半に入ってくる。

実力だけで上手く逃げ出せないと理解し作戦を変える。高木が後ろにいるので交替せずに後ろに立つ。中井選手はそれでも捕まりたくないようで一人で引っ張っていく。それで更に3周が経過し、残り3周半(10キロ強)。

少し垂れてきたと判断し、激しいアタックをかける。全開より差が開き、今回はなかなか追いついてこない。しかし、一発で7~8秒に広がったものの、差がそれより広がっていかない。1対1のTTバトルに切り替わる。

最終的には、縮まることも広がることもなく、ずっと同じタイム差で逃げ切り優勝。

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(c) Yamanaka Akira

自分から見てのレース

最初の1周目はコースと風の向きを分析するために、少なくとも1周だけは少し押さえて仕掛けていかないことにするも、いつの間にか5人程の逃げが出来ていることを確認。

力を使わずに(風を受ける側を使わずに)少しずつ前方に上がり、2キロ時点で前に上がり切る。丁度横風でイン側に位置を取っているし、逃げは一発で届けそうな距離にあるので後ろが付いてこれないように思いっきりイン側に付けながらアタックをかける。22秒581w、最大777wとマックスではない。それで先頭に合流する。

私を含めて6人なので、しばらく様子をみて丁寧にローテーションに入る。先頭を取っているとき以外、風を受ける状況にならないように常に集中して対応する。

すると、後ろにミッチがブリッジをかけているのを確認。最後の20mは横風で我々よりきついだろうと思い、下がって引っ張ってあげる。それでヴェントスが2人に。

ミッチが回復できるようにしばらく(1周?)待ち、回復できたと思った時点で一番弱い選手をなくすためにミッチと二人で先頭を取って少しイン側に寄りながらペースを上げる。それで弱い方の選手が風を受け、足切りになる。2人以外は、一人しか残らないが、明らかに一番強い一人だ。

差を広げるためにしばらく3人で回る。ミッチの調子を伺う。OKとのことだから、そろそろ仕掛け始めようと判断。

2対1という状況に持って行けたしゴールまでかなりの距離が残っているので、実は下手なことをやらない限りそこで私たちの勝ちがもう決まっている。人数の戦いになってくると、先ずはタイム差を安定させるように協調体制をとって、そしてなるべく早い段階で仕掛けるのが共通な作戦。タイム差がもう安定しているので、第2ステップに進む時間がくる。

そこで、やり方が2つある。

・ヴェントス2人で先頭で回りながら、ドアを閉めて(風を受けるように一番イン側に寄って)相手を千切れる。それでワンツーフィニッシュが出来るが横風でない区間でどうしても回らない相手が回復できるので実力があれば最後まで残ってしまうことがリスクだ。

・一人ひとり仕掛けて相手を疲らせて追いついてこれない状況になるまで繰り返す。ヴェントス一人を逃がせば、もう一人は回らないから更に待って後からブリッジかけて先頭に合流してワンツーの可能性もある。

但し、相手の実力によって時間がかかることもあるかもしれないので早い段階でタイム差をを安定させて仕掛ける必要はそこにある。

従って、ガンガンと仕掛けることに。仕掛ける場所は必ず横風区間に入る前にする。すると、付いて失敗して付いてこれたとしても思いっきりインを走っている私と同じぐらい風を受けているからカウンターのリスクはほぼない。

1回目は、3~4秒の差が付くも、3分ぐらい経ったら追いついてくる。1回目だけなので、限界まで行かずに少し待ってあげる。

次の周、同じ場所で仕掛けてみる。全開のアタックで相手も自分も同じぐらい疲労を付けたので、丁度同じ展開が繰り返される。更に1回仕掛けてみるも同じく少ししてから追いついてくる。

そこで相手の実力~得意苦手が分る。

私の得意は短時間高強度、差を作ることには問題ないがその差を維持することが難しい。逆に、相手は短時間高強度が少し苦手みたいだけど実力はあるしFTP走が得意ように見える。

元々、ミッチと交替で仕掛けるつもりだったがアタック合戦でミッチが遅れてしまい1対1という状況になってしまった。更に仕掛ければ相手も自分も同じぐらい疲れていくのでここで優勝を安定させるには相手を疲らせる必要があることを判断する。ミッチがいなくなったことで交替で仕掛けられなくなったが、追走にいるので私には後ろを待つ選択肢もある。従って、回らないことにする。

回らなくなっても、相手が引く続ける。彼にとってどうしても1対1の状況のままが良いみたいで、文句を言わずに引いてくれる。

ただ、そこは相手が「ドアを閉める」べきだった。私が協力しないなら、風を受けてくれる必要もないが、思いっきり横に寄らないでくれるので僕は次の攻撃に最適な場所を探しながら楽に3周を送る。

残り4周に入った時点では、相手が垂れてくるように見えるので、この周で抜け出すことを決める。

選んだ場所は、後ろ~横風区間で、道が悪い個所のある場所。変速の音がしないように適切なギアを備えておいて、少し後ろに下がって、良いタイミングで風を受けない側から思いっきりアタック。相手を抜けるタイミングでは、速度の差が大きく、道が悪いのですぐに反応できない。そして、その直後は右折なので、コーナーで更に差が付く。それだけですぐ6~7秒に広げる。

しかしなかなか詰めてこないにしても、諦めないで追ってくる。

それで数キロが経過して、ラスト一周で追いついてきたら1対1勝負になってしまい僕も付かれている状態でスプリントに任せて負けてしまうという最悪のパターンの可能性も見えてくる。そうなるとやばい。しかし、中々戻ってこないし、今の状況がまだおいしいので全力で踏み続ける。

TT走のペース管理として、自分の特徴もあって、速度が低い区間(向かい風~横風)は全力で踏んで、追い風区間は踏み続けながら少しだけ余裕を持っておく作戦。そうなると、コースの北部(風が北西から吹いてくる)が一番きついがあとは少し回復できるのでそこは我慢して出し切る。

差が全く変わらないが、詰めてこなければ僕の勝ちなのでそれでいい。

ラスト一周が特に心配だが、残り5分なら出し切ったら付いてくることはないので、本当に死ぬほど出し切る。残り1キロぐらいで勝利が決まり、逃げ切り優勝。

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(c) Yamanaka Akira

結論

相手は力負けに感じただろうと思いますが、冷静に考えてみると彼の方が強かったに違ありません。

3周も引いてくれたし、それでもタイム差を維持することが出来たということは、私より力(最低でもTT力)があったことが明らかになります。

そして、コーナーが周8ヶ所あったと考えると、私のコーナリングがほとんど完璧だったのでそこで3秒ぐらい?稼いだと考えても良いと思います。

1人で引っ張ってくれるときにちゃんとイン側に寄っていたら、僕はそんなに楽に回復することが出来なくて力の差が更に縮まったと思います。

私の反省をすると、残り10周で仕掛けるのがかなり速かった。もっと遅く仕掛けていたら勝利がもっと早く安定しかと考えられます。逆に、少しだけでも早く仕掛けていたら、最後追いつかれてしまい、負けるリスクもあったので少しギリギリだったと言ってもいいです。

あくまでいうと、風の中の走りもコーナリングも得意のでAACAとかよりは得意なレースでしたが、FTP走が弱点ということで逃げ切りができたのは今後の自信に繋がります。

皆さん、ロードレースの戦略を少しでも伝えることが出来たでしょうか。

さて、沖縄開幕戦まではあと少ししか残っていません。今週はかなりハードなメニューを組んで、疲労もあったんですが沖縄まで疲労を抜けて、更に強い状態で挑みたいと思います。今後とも、東京ヴェントスの熱い応援を宜しくお願いします!

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