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  • JCLの挑戦:疑問があっても、応援すべき理由
    4 March 2022
    JCLの挑戦:疑問があっても、応援すべき理由
    JCLチェアマンを務める右京氏と、名誉顧問に就任した川淵氏 ⒸJCL 本日の16:00から、昨年実業団から分裂し発足した地域密着型リーグ「ジャパンサイクルリーグ」(JCL)のシーズン開幕報告会が東京都千代田区にて開催されます(こちらにて、ライブ配信が観覧できるようなので、興味のある方は是非覗いてみてください)。 「JCL」の取り組みを特に注目している理由について、こちらとこちらの連載記事で説明しています。 一方で、数日前に目を引いた投稿を共有させて頂きたいと思います。完全公開の投稿ではないので、あえてこちらでは投稿者の身分について言及しませんが、今まで立派に世界基準にこだわり続けた、とても尊敬している先人のお言葉です。 絶対的な応援に踏み出しきれない私の複雑な気持ちを正確に表現してくださっていると思いましたので、議論を少し膨らませてみようと思いました。 記事を最後まで読まない方もいらっしゃると思うので、前置きとして結論から述べておくと、複雑な気持ちではあるのも事実ですが、私はそれでも「JCL」の挑戦を全力で応援すべきだと考えています。どうして複雑な気持ちでいるか、どうしてそれでも応援すべきだと思っているかについて述べていきます。 分裂から始まった「JCL」は、「馬鹿じゃないか」と言われながらも目標に向かって突き進み続けた結果プロ化を見事に実現した「Jリーグ」の成功事例にインスピレーションを受け、当面批判を浴びることを承知の上、強い覚悟をもって水面下で取り組んできたのではないかと思います。まず、中身はともかく、そんな中で目標に向かって踏み切った初代の方々に敬意の気持ちを表したいと思います。 しかしここ数日、Jリーグを成功に導いた当事者の川淵三郎氏ご本人がJCLの名誉顧問に加わることが発表されたこともあり、いい加減力を合わせて夢の実現に向けて力を合わせていきましょうよというような感じで、調和を呼び掛ける投稿も目に入るようになるなど、表立って動くようになってきました。 日本は日本のやり方で。昔から変化がない言われていた業界でしたが、現場では必死に変えようと努力してきた方々が、沢山いました。 ようやく多くの方にわかりやすい形で変化を迎えようとしてる様に感じます。 一度見放した方も諦めた方も、もう一度一緒にこの波を楽しみませんか? https://t.co/GcY1VHyikv — sogasan🛠️ (@Sogavendish) March 1, 2022 (JCLを率いているチーム、宇都宮ブリッツェンのメカニック、曽我部正道さんのツイート) JCLスタート当初、ネットで根拠のないネガティブなことを言う人もいたし、リアルの世界でも某大学チームの監督(?)から物凄く失礼な言葉を浴びせられたこともある。でも本当に日本ロードレース界のことを思ってる人達は黙って現実世界で地道に地道にアツく働いています。 — KOTA IWAI (@iwakoota) March 2, 2022 (那須ブラーゼンのゼネラルマネージャー、岩井航太さんのツイート) 「JCL」が身を入れて立ち向かっている挑戦は、日本の自転車ロードレースをメージャースポーツに引き上げること、そして世界三番のスポーツイベント「ツール・ド・フランス」で勝負できる日本人選手を生み出せるようになること。夢溢れるこの目標に反対する者はいないと思います。しかし、1年経過して、JCLの目指す姿とやり方が明確になって、実を結び始めている今でも、業界の中では上記のように、応援に踏み切れないプレイヤーがまだ多いことも事実ですが、当然力を合わせて共に進んだ方がいいとは双方思っているはずですから、それぞれの主張が噛み合っていないような印象を受けることが多いです。 その中で、ヒントになれたらと思い、単なる個人の見解に過ぎませんが、感じている疑問点に簡単に触れてみようと思います。 JCLの理念について、異論は全くありません。疑問があるのは、それを成し遂げるために提示され続けている方法(ロードマップ)についてです。なぜなら、手段と目標が根本的に矛盾しているところがあるのではないか、と考えているからです。 一言で表現すると、 「例え本当に国内でプロとして競技に打ち込める環境整備が成功したとしても。選手がわざわざ居心地の良い環境を去る理由を無くしてしまうだけなのでは?」 と考えてしまうところになります。 つまり、今提示されているロードマップの内容だけでは、国内でプロを成立させるという中間目標と、世界で通用する選手をシステマティックに輩出する最終目標が繋がってくる将来像が私には見出せないということです。 サッカーやバスケが成功したのは理解していますが、サッカーやバスケの場合、国際競技連合の傘下に国内プロリーグは世界のどこにも存在していました。それはそれで立派ですが、強いていえば川淵氏率いる当時の先人たちは日本のやり方でそれを真似した「だけ」です。 自転車ロードレースの場合、国単位のプロリーグはどこにも存在しておらず、プロを管理しているのは国際競技連合(UCI)そのもので、それ自体が国際基準になっています。UCIが各NF(各国の競技連盟)に提示している役割は、プロリーグを構築することではなく(UCIの役割ですから)、育成の仕組みを整えることです。逆にUCI抜きのプロリーグを立ち上げるとなれば、対立構図になるわけですから、「国内プロリーグ」というJCLの立ち位置と、「3.世界基準となるチームや選手の輩出」といったJCLが掲げる理念のひとつが矛盾してしまうことを、ご理解頂けるのでしょうか。 選手育成を後付けで成立させる(リーグ内で強くなってから、国際基準に適応する作業に取り組む)ということであれば、現状と何が変わるか、私には良く分かりません。 そのため、収益化に関する課題もいうまでもなく、最後までサッカーやバスケと同じやり方で取り組んでも不十分なので、全く新しいモデルを創り出す必要があるため、はるかに難しいことになりますし、私の経験や知識だけでは実現可能なモデルが浮かばないので、必然的に観客的な立場になります。 はるかに難しいことだけど、現場で試行錯誤を繰り返しているJCLの中では、その意識は育ってきているように感じていて、当初のビジョンに固まってしまうのではなく、課題に相応した施策を柔軟に取り入れていく姿も見せています。これは本当に立派なことで、是非とも期待していきたいと思っています。 #JCLとは新しい挑戦に失敗や間違いは付きものだ。何故ならまだ誰も成功していない領域だから。でも我々は、加盟チーム/選手と共に、この地図のない旅に挑み続ける。 ファン、スポンサー、投資家への責任は重い。しかし、その重圧を乗り越えた者だけが、やがて“プロ”と呼ばれるだろう。 pic.twitter.com/H91C8vHfa8 — 🇯🇵JCL🚴 あす16:00から開幕プレゼン!! (@JCL_PROCYCLE) March 3, 2022 プロの定義、世界に繋がる育成の流れに関する課題を解決させるためには、UCIとの連携の強化、世界基準を正しく取り入れた育成環境構築への投資が不可欠なステップになってくると思いますし、これは5年、10年だけでは済まない、というのが現実的なところではないでしょうか。10年後ということで現実味のない「ツールの夢」を売り続けていくことになるでしょうし、プロの定義をはじめ若干嘘っぽい場面もあるでしょうから、暫くは一部から批判を浴び続けることは仕方ないことだと思います。 でも、JCLの短い歴史ではありますが、「日本流」を掲げているだけあって、私には予測できなかった展開を成し遂げたことも高く評価していて、期待している理由の一つです。日本の地域密着型での経験(東京ヴェントス、2018年・現レバンテフジ静岡の前身)をきっかけに、「地域密着」を中心としているこのモデルに高い可能性を感じて、選手育成に対する考えに疑問を持ったままでも、JCLのフォーマットに沿った形で(当時はまだ存在していませんが)、フランス代表の事前合宿を受ける予定だった山梨県山中湖村で地域密着型チームの創立や、「ホームレース」の開催などを促そうと思った理由でもありました。既存の世界の仕組みで育ってきた自分がそう感じているのであれば、ある程度の発展さえ実現できれば、世界に認めて頂けるようになるかもしれませんし、逆に世界から注目を浴びるようになってくるのかもしれないので、そうなってくると風向きが完全に変わってくると思います。 私と同じように、JCLに対して、また「プロの定義」に対して、現時点では疑問を抱いている方はまだ多くいらっしゃると思います。しかし、そういった方には、それでも是非応援していってほしい。そして、JCLを現場で引っ張っている方々、多方面から支えている方々にも、新しいことに挑戦しているからこそ、今までどおり周囲の意見に耳を傾け、柔軟で謙虚に課題を洗い出し、一つひとつ乗り越えていってほしい。どちらのスタンスも間違っていませんから。果たして、うまくいく保証はありませんし、失敗を恐れる理由はいくらでもありますが、大きな変化が起きること、何らかに繋がるは間違いありません。そんな声をお届けしたいなと思っている、今日この頃です。
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  • 「自転車文化」を醸成させるには
    8 February 2022
    「自転車文化」を醸成させるには
    この記事を書こうと思ったのは、この写真を目にした時です。 この写真は、フランスのブルターニュ地方の地方紙「Le Télégramme」の記事の見出しに使われていた写真です。日本から蠣崎優仁選手も参加していた一昨日開催の「La Flèche Bigoudène」という129kmの第1カテゴリー(アマチュアの中で、「エリートナショナル」という最高クラスに次ぐレベル)のラインレースのゴールシーンで、既にブルターニュ地方のプロチーム「Arkéa Samsic」でのプロ契約が確定している2位のEwen Costiou選手と3位のMathis le Berre選手の2名がチームメイトのLomig Le Clec’h選手に勝利を譲る瞬間です。この選手は3名とも「Côtes d’Armor – Marie Morin」というブルターニュ地域の強豪チーム(因みに、2018年に日本に来てくれたエンリック・ルバース選手の所属チームでもあった)で、他には4位、5位、6位、8位、9位も同チームの選手になっています(右側の選手が別ジャージを着用しているのは、ブルターニュチャンピオンジャージを着用しているからです)。要するに、7位と10位以外、トップテンは全選手同じ所属になります。 新聞紙がいつものようにFacebookで(有料!)記事を投稿したところ、「いいね」が657件も集まっていました。 これは、様々な側面で本当に「自転車文化」というものを物語っているな、と思ったので、その背景にある環境を記事にしようと思いました。 この中で、「自転車文化」がどのように現れ出ているかといえば、 ・プロでも、アマチュアの最高レベルでもないのに、大会の内容を把握できて、600名以上の読者がリアクションをすること。・この大会は130km近くのラインレースなので、フランスの場合は自治体が細かく分けられているため、関連している自治体が恐らく30つ以上(東京五輪の場合は合計15市町村)。ブルターニュではこの時期、毎週2~3回ラインレースが地域内で行われている。・リザルトを見るだけですぐ分かるが、このレースを決めたのは、序盤にできた「エシュロン」の展開でしょう。エシュロンとは、強い横風が吹く際に、風の反対側ギリギリでローテーション走行(先頭交代)をすることで、その後ろの選手が強い風を受けざるを得ない状況をあえて作り、集団を分裂させる戦略です。非常に高度な技術が問われますが、風が強いこの時期は、今回のように成功させて、1位から10位まで独占するチームがちょこちょこ出てきます。 本大会に出場した蠣崎優仁選手が、大会前にコース分析した際に、こちらの投稿をしていました。 https://twitter.com/EkKimera/status/1488632878657417217 当然フランス語ですが、上記の記事とFacebookの投稿も参考に共有しておきます。 日本サイドでは「自転車文化の違い」という、曖昧な言葉で「日本と世界の差」を簡単に片づけてしまう傾向がありますが、「文化」というのはあくまでもプロセスの結果であり、プロセス自体ではないので、そうしているうちに、本当の原因を見逃してしまっているように思っています。従って、今回は「自転車(競技)文化」をどう醸成させているのか、「本来の原因」と思われる決定的な違いについて簡単に述べてみようと思います。 この決定的な違いは、「ガバナンスの違い」だと思っています。 全てがそこに終着しているのではないかと思っているので、なぜそう考えているのかについて述べていこうと思います。 スポーツにおいては、「ガバナンス」と「文化」は全く違う側面だということを皆さんも良く理解できると思います。スポーツの「文化」はスポーツが社会に溶け込む過程で生まれるものですが、都合が揃えば天から降るわけではなく、計画的な「成長戦略」を経て少しずつ醸成されていくので、注目すべきなのは、どのような成長戦略を展開していくのか、つまりガバナンスをどう行っていくのか、という点でしょう。 結果的には、「多くの観客が集まり、一般社会でも関心度が高い状態」「大会数が多く、目に触れる機会も強化や経験をする機会も多い状態」「世界基準の選手がシステマティックに地域から生み出される状態」を「文化」と呼んでいることを上記の説明でご納得いただけたと思いますが、まず、「世界基準の選手がシステマティックに地域から生み出される状態」の観点からいうと、当然ながら「世界基準」というものを正確に理解し、それを軸に戦略を立てる必要があります。そして、既存の仕組みに繋げていく必要があります。幸いなことに、国際自転車競技連合(UCI)がその基準を明確に作って統一してくださっている(UCI規則)し、世界各国に繋がるパイプも用意してくださっています(NF=日本の場合はJCF)。 ということは、UCIが用意してくださっている国レベルの組織(日本の場合はJCF)が中心となってガバナンスが効いていて、明確な戦略が提示されていることが全ての前提になるということです。但し、日本の場合はその時点で道を外れており、「文化」が定着しない原因はその一点に尽きるということを下記説明したいと思いますが、説明のため、「NFがガバナンスを行い、成長戦略を立てている状態」を「本来の形」と呼ばせてください。 次に、「大会数が多く、目に触れる機会も強化や経験をする機会も多い状態」「多くの観客が集まり、一般社会でも関心度が高い状態」とあったと思いますが、「質の高い大会が多く開催される状態」を生み出すためには、開催に対するハードルを下げる必要があると思います。この側面に関しては、日本の場合よく挙げられている「責任問題」「道路使用に対するハードル」は否めませんが、このようなことを言い出せば卵か鶏かの話になってしまうので、表面的なことに着目する以前に、日本以外の世界各国がどのようにして質の高い大会を(比較的に)開催しやすい状態を作ってきたかについて考えてみて頂きたいと思います。 「本来の形」では、UCIが用意してくださっているNF(ナショナルフェデレーション)が「レースを開催できる」環境を整えています。具体的には、様々な対策があるので、それぞれ簡単に取り上げていきますが、総じていうと「自転車に関わる全てを管理できる仕組み」を構築することです。 つまり、どの大会であっても、開催を考える際は必ずNFに企画書を提出し、NFが把握する状態を作るということです。それが可能になるのは、NFを通すことで下記の特典を得ることができるためです。逆に、NFに全国全ての大会の情報が集まってきて初めて、下記の特典を生み出せるようになるので、この好循環を作り出すこと、この一点に尽きると思います。 主な施策を一つ一つ取り上げていくと下記のようになります: ・ルールの一本化:カテゴリー分けから競技規則まで、NFが全て定義している。そうすることによって、主催者から競技規則やカテゴリー分けに悩み時間を割る必要もなければ、参加者にとっても分かりやすくなり、参加しやすくなる。 ・スケジュールの管理:NFのホームページ、又は地方連盟のホームページでいつでもリアルタイムで閲覧できる。そうすることによって、主催者が広報やPRに予算と労力を割る必要もなくなるし、参加者が近隣の大会をすぐに見つけることができ、参加しやすくなる。 ・競技団体の管理:個人登録ではなく、競技団体(クラブ)の登録制度を導入することで、競技団体を立ち上げ運営するハードルが下がり、そのクラブが中心となって地域の自転車競技を推進していくので、自然と大会主催者の主体になっていく。 ・エントリーシステムの構築/提供:クラブを中心に登録手続きを管理していけば、同じ仕組みを使って大会のエントリーシステムをNFが構築し、無償提供できるようになる。それによって、スポーツエントリーのような民間サービスを介する必要がなくなり、募集の窓口までNF(又は地方連盟)が担ってくれるため、主催者は一切管理必要がなくなる。また、参加者としてもエントリー情報の入力はライセンス申請時に一度だけ入力してしまえば、あとはいつもクリック一つでエントリーできる。 ・ランキング/カテゴリー構築:全国の大会情報が集まっており、ルールとスケジュールが一本化されていれば、次にできるようになるのは公平なカテゴリー分け。参加者のモチベーションアップ、選手層の肥厚化に繋がるので、登録者数の増加にも繋がるし、世界基準をきちんと把握し取り入れていけば、国内レベルで構築されたピラミッドの頂点が世界と繋がってくる。 ・審判の派遣、計測システムの提供:日本の場合、競技の管理(主管団体)は主催団体が兼ねることが多いが、「本来の形」では、大会企画書を届け出る時点で、NFの下部組織がそれを負担してくれるのが一般的。そのため、専門知識や専用の機材が必要になるこの分野に、主催者が観入する必要が一切なるなり、本業に集中できる。 上記のような好循環を生み出した先に現れる二時的効果としては、エントリー料の低下、ということは競技人口と参加大会数の増加、大会数の増加なども挙げられます。 誤解のないように改めて申し上げますが、これはフランスの話ではありません。NFを中心に国内の競技環境を構築している、日本以外世界全域の話です。「本来の仕事」であるはずの、競技環境のガバナンスをNFが行っていないのは日本と発展途上国ぐらいですが、その時点で「自転車文化の違い」を国内の競技環境が発展しない原因に掲げてもしょうがないと思いますし、それをいくら民間団体が担おうとして市場に参入しても、価値観がますますバラバラになっていくだけで、改善するどころかガラパゴス化が進んでいくだけではないかと考えています。 その中でも、バラバラになっている業界を一つにし、競技文化の発展や文化の定着を目指すのであれば、国レベルではなく、現場レベルで課題をちゃんと把握し共通の認識を生み出していかないと、いくら騒いでもまとまる方向に進むことはないのではないかと思います。
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  • 日本の自転車ロードレース界が先進している部分について(2/2)
    3 January 2022
    日本の自転車ロードレース界が先進している部分について(2/2)
    写真 © JCL公式 「日本の自転車ロードレースが先行している部分について」ということで記事を作成しましたが、先日はその第一弾として、比較のために世界が抱えているいくつかの課題を取り上げてみました。 今回は第二弾として、国内で特に注目や評価している取り組みを深掘して、どのように先行していると考えているかについてご説明できればと思います。 「スポーツ」と「まちづくり」について 2015年に「スポーツ庁」が設立され、2018年に「日本体育協会」が「日本スポーツ協会」に名義変更されたように、「スポーツ」という言葉が日本に定着し浸透してきましたが、本当に最近のことだというのもよく伺えます。日本の場合、「スポーツ」の前身は「体育」であり、その歴史的背景を踏まえると「教育」から交差してきた二次的分野のようなものに該当するとも言えます。そのため、今は「運動に対する認識」のすべてが世界共通概念の「スポーツ」にまとまってきたとはいえ、日本社会の中ではスポーツの位置づけがまだ少し特徴的な気がしています。 しかし面白いのは、社会の中で「身体運動」の立ち位置が「体育」から「スポーツ」へと移行している中で、「スポーツまちづくり」という新しい分野が生まれたことだとみています。スポーツを部分的に活用して社会や地域の発展に取り組むのは、世界各国にはもちろんあることですが、独立している一つの分野として研究されており、一つの業界にまとまってきたのが割と異例で非常に興味深いと思っています。 これはスポーツに限らず、「まちづくり」というコンセプト自体でさえ、私にとって日本に来るまでは馴染み薄かったです。自然災害、都市化や少子高齢化等日本特有の課題があるためかは分かりませんが、国や企業からローカルな団体や個人まで、社会が様々なスケールで個々の意欲のみならずコミュニティのニッズを満たす方向にも自主的に動いていることも日本特有の素敵な側面で、これから世界全体が直面する環境やエネルギー問題を乗り越えるために決定的なノウハウになるのではないかと思っています。 「地域密着型スポーツ」について 上記の論点に因んで、「地域密着」も簡単に直訳できない言葉の一つです。「地域密着型クラブはJリーグがヨーロッパから持ってきたもではないか」という疑問も聞こえてきますが、日本で考える「地域密着型モデル」はその先に進んでいると思います。なぜなら、ヨーロッパのスポーツは地域の中で生まれたものなので、本来の姿が「地域密着型」です。日本のスポーツは上記のとおり教育の一環として生まれ、社会の中で位置づけられてきたので、「地域密着型モデル」は後付けで導入されイノベーションです。結果的に何が違うかというと、ヨーロッパは昔からの固定概念を引き継いでいるのに対して、ゼロから「地域密着型モデル」を作り上げた日本はヨーロッパ、アメリカ、アジア等の仕組みを自由に参考にしつつも、現代社会にフィットするように独自の取り組みも活発に取り入れた結果、昔のままに固定されているヨーロッパのスポーツシーンとは違って、地域のニッズに応じる形で新しいクラブやチームが多く誕生しており、新しい市場が出来き拡大しつつあります。ヨーロッパ人としては、その部分を羨ましく見ています。 自転車競技の例がいちばん分かりやすいです。ヨーロッパはどのスポーツでも昔からクラブ型に統一されている仕組みで、選手育成が成功している理由でもありますが、自転車競技の場合は地方自治体の補助金が主な収入源で、プロチームに関しては完全に企業スポンサー型ですよね。チーム単体で地域に密着し独自の活動だけでプロのクラブを成立させた事例は、ヨーロッパには一つも存在していません。 そのため、10年前 Jリーグを参考に誕生した宇都宮ブリッツェンが「地域密着型モデルを自転車競技への導入」を実現したのは、日本初ではなく、世界初と言ってもいいのではないかと思っています。 「ジャパンサイクルリーグ」の挑戦 しかし、去年誕生された「ジャパンサイクルリーグ」(JCL)が目指しているのは、それを全国に広げ、ひとつの仕組みとして成立させることです。ただでさえ、日本語で意味する自転車競技の「地域密着型」プロチームは世界で一つも存在していないにも関わらず、それをシステマチックに成立させることができれば、アメリカのNBAのように、日本のみならず世界を動かせる取り組みが生まれることになると思います。 もちろん、自転車競技に関して世界レベルでも前例がないことだからこそ、その実現性を十分に疑うこともできますし、実際には初年度でいくつかの致命的なハードルが明かされましたが、リーグは既に存在しており立派な1年目を切ったので、これからどのように価値を生み出していき、システム全体を成立させていくかを非常に興味深く観察し研究していきたいと思っていまし、課題の洗い出しも含め自転車の可能性を信じている日本国民の皆さんが一丸となってこの新しい取り組みを支えていってほしいと思っています。 JCL一年目の総評及び今後の展望と課題について、後日別の記事で述べる時間を作れるように頑張ってみたいと思います。 まとめ 先日の第1弾では、サイクルスポーツに関して世界最先端を走っているヨーロッパのシステムが抱えている課題を取り上げ、今回の第2弾では、日本が起こしているイノベーションがどうのようにそれに応じられるのかについて述べました。表面しか触れていませんが、ツールド東北や富士ヒルクライム、ルーツ・スポーツ・ジャパンの「ツールドニッポン」や分散型イベントへのシフト、競輪業界で革命を起こそうとしている「PIST6」やシクロクロスの普及など、深掘りしていけば例に挙げられる取り組みは他にたくさんあります。世界に視点を変えることで、皆さんがヒントになるような情報を見つけられたら嬉しいなと思っています。
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  • 日本の自転車ロードレース界が先進している部分について(1/2)
    30 December 2021
    日本の自転車ロードレース界が先進している部分について(1/2)
    写真ⒸSatoru Kato 今年9月、「日本の自転車ロードレース界が、なぜ世界から遠ざかっていくようになったのか」という記事の中で、世界で通用する自転車ロードレース界を築く観点において、トップリーグが二つに分裂した近年の流れを厳しく評価していました。 しかし、これはあくまでも「世界で通用する自転車ロードレースを築く」という観点の話であり、結局のところメージャーに引き上げていくために欠かせない道筋だとは思うので厳しい総評に変わりはありませんが、観点を置き換えると、「日本流」を強調したとてもイノベーティブで興味深い取り組みもありました。 上記紹介した記事の中には、「JBCFの中からほとんどの地域密着型チーム「…」が「Jプロツアー」を離れた「…」背景にある数年前からの価値観と考え方の違いがある(ことについて)個人的な見解があり、今回の記事の趣旨ではないので省略します」と書いていたので、その「個人的な見解」について述べていきたいと思いますが、全てを一遍に述べると長文になってしまうので、今回は自分がどの目で見ているのか(1/2)についてお話をさせて頂き、次回は注目し期待を寄せている具体的な取り組み(2/2)について深掘りしていきたいと思います。 どの立場で見ているかによって、評価が全く変わってくる まず、当たり前のことですが、私が日本語で発信している際、あくまでも日本人向けの内容しか発信していません。日本の環境をどうすれば改善できるかや、世界の中で参考になる部分などの観点で話をしています。対象にしている日本の読者がもっとも興味を持っているのは、自分たちのことだからです。とはいえ、それがあくまでも一つの観点に過ぎず、むしろ日本人ではない自分の本来の観点ではなかったりします。 ヨーロッパ向けに発信している際は視点が逆になります。日本で「本場」と言われているヨーロッパの自転車競技環境は美化されがちですが、このヨーロッパもいくつかの課題を抱えています。日本在住者や業界関係者としての観点はもちろんですが、当然ながらヨーロッパ人としての観点もあり、自転車の話に限らず、どちらにウェイトをおくかによって、見解が全く違ってくることもしばしばあります。 日本とはまるで違うにせよ、ヨーロッパも多くの課題を抱えている もっとも代表的な例で申し上げますと、フランスをはじめ自転車競技歴史の長い国々の多くは、「レース数の急減」という大きな課題に直面しています。 プロ競技だけ見ていると、レベルが年々上がっていき、大会数も大きく変動していないので、発展し続けているようにも見受けられますが、実はピラミッドの頂点を支えているアマチュア部分を取り巻く水面下の環境に関しては、高齢化及び補助金の削減の影響を真正面に受けており、構造的で致命的な問題に面しています。近年のネオプロ選手の若年化の原因でもあったりします。 分かりやすく言えば、私がアマチュアとして活動していた10年前より、今のロードレース大会総数が3から4割ほど減りましたが、この当時も同じことが既に言われていたので、実質的に30年で大会総数が当時の3割ほどにまで減ってきました。チーム数も選手数も、同じ傾向にあります。 どうやって継続してきたかと言えば、私の出身地を例に挙げますと、20年前はローヌ県、ロワール県とアン県の3県(リヨン市の周辺地域)で構成されている「リヨネ地域圏」でした。私が走っていた頃は、このリヨネ地域圏が隣のドフィネ地域圏(クリテリウム・ドゥ・ドフィネのドフィネですね)と合併し、アルプス方面を含めた計8県をまとめる「ローヌアルプ地域圏」に変わりました。更に4年前は、このローヌアルプ地域圏が隣のオーヴェルニュ地域圏と合併し、現在は「オーヴェルニュ・ローヌアルプ地域圏」という計12県の管轄になりました。それでも、地域圏選手権大会を例にあげると、参加者数が「リヨネ地域圏」の当時とはほぼ変わっていないのです。 フランスの場合、毎週末1000円で大会に参加できる理想とされている環境は実は、昔から完全なる無償ボランティアの努力によって成立しているものであり、この仕組みが崩壊しつつあります。理由としては、上記述べた一元化の傾向もそうですが、それを可能としていた社会主義の国柄が薄まってきていること(=補助金が削減されること)や、日本にはまだほど遠いですが社会の官僚化が進んでいること(=安全性を考慮した施策や法律等によるハードルが高まること)などが挙げられます。そのため、ボランティアモデルのアマチュアリズムから抜け出し、パラダイムを立て直す必要がありますが、イノベーションが全くできておらず、衰退がどんどん進んでいるのがヨーロッパのアマチュア自転車競技界の現状だったりします。 「本場」でも、日本から学ぶべき点も多々 本題に戻りますが、そういう観点で見ていると、日本の自転車競技界は非常に先進的で、ヨーロッパの課題に響く取り組みが多いです。なぜなら、そもそもボランティアに頼れる社会構成ではない(労働時間が長く、助成金割合が低いなど)こともあり、「スポーツから最大限の価値を生み出し、稼ぐ仕組みを作ること」に対する意識が高いからです。それが、ヨーロッパに必要な「パラダイムの立て直し」の一つの参考になると思っており、その観点でとても興味深く見させて頂いているわけです。 ここ数年の「ジャパンサイクルリーグ」(JCL)が掲げている企業理念や事業内容は正しくそれに該当しており、数年前から見え隠れしていたこの新しい価値観の誕生に注目していました。全てに賛同しているわけではありませんが、「自分たちだけの力で稼ぎ、ビジネスを成立させる」という点をはじめとして、中には非常に先進的で将来性の高い取り組みも数多くあると考えています。「地域密着型スポーツ」の考えはヨーロッパから入ってきたというイメージが普及していると思いますが、実際には「日本流」の地域密着型モデルは、ヨーロッパのモデルとは全く違うものになっており、どのように違うのか、そして具体的にどの点について興味を示し期待しているのかについて、次の記事で述べていきたいと思います。
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  • 「ヨーロッパの壁」
    6 December 2021
    「ヨーロッパの壁」
    日本に来てから、早いことに6年経ちました。 本来、競技と一線を引くつもりで来日した私ですが、経験してきた母国の自転車競技と、日本で行われている自転車競技にどれだけ差があるものかを実感して、なんだかんだで再び自転車競技に関わることを決意する流れに吸い込まれました。 私にしか分からないこと、私にしかできないことがあるに違いない、と思ったからです。 だって、自転車ロードレース競技において日本人選手が乗り越えられない「ヨーロッパの壁」の向こう側から来ているわけですから。 世界で戦えるようになるための観点から考えたら、日本の自転車競技界が何よりも必要としている存在なはずです。 しかし、不思議なことに、「本場との架け橋」のような活動をしているときに限って、自分であれば堂々と実行していけるようなことを、日本人を巻き込んでやろうとしていると、その日本人が「私」という壁にぶつかるかのようなことが起きます。 私の立場からすれば、本当に不思議でなりません。 もちろん、立場を置き換えると、「私」が「日本人」という壁にぶつかっている、とも捉えます。結果的には、全くイコールのことでしょう。 ましてや、日本では経験できない、常識化されていないようなことに関しては、私の意見や考え方がどうしても「マイノリティ」に該当するので、反対意見は必ず「マジョリティ」になるわけです。ずっとそんな中で生活していると、頭がおかしくなるぐらい、自分を疑うようになってきます。 正しく表現できていないのか? それとも、自分が正しく理解できないのか? あるいは、そもそも学んできたことは間違っているのか? そういうときは、地元の友達、アマやプロで活動している先輩の選手や指導者の知り合いに相談することが多いのですが、そうしていると、今度は私の意見や考え方が再び「マジョリティ」に該当していることが確認できます。 やっぱり、学んできたことは間違っていない。 でもそう考えると、自分が正しく理解できていないわけではない。であれば、「正しく表現できていない」ということになるでしょう。 しかし、6年経過して、困ることがないぐらい日本語を習得できても、全くもって「日本の壁」にぶつかることに変わりは見受けられません。それがいつも、「新しいこと」を伝えよう、実行しようとしているときです。要するに、「母国」(フランス、或いはヨーロッパ)と「異国」(日本)を繋げようとしている、「架け橋」を担っているときです。 結局のところ、日本人選手が「ヨーロッパの壁」にぶつかっているのと全く同じように、私は「日本の壁」にぶつかっているということでしょう。 では、数年経っても、それがなぜ改善されていかないのか。 最初は、それは「自分に問題があるから」だと思っていました。 その「問題」を見つけて、解決していけば、きっと壁を乗り越えられるようになると思っていました。 しかし、それは自分に「問題」があるのではなく、「抵抗」があるからだというのが分かってきました。 6年で変わったのは、ネイティブに割と近い言語力を習得できたことや、日本社会で生活できるようにもなったことです。それは、様々な問題を乗り越えて、成長し続けてきたから、日本文化に対する理解を深めようと努力した結果です。 6年経っても変わらなかったのは、日本に来るまでの間に受けてきた「教育」や、自分の中で養われてきた「価値観」です。自分の軸となっている部分なので、そう簡単には変わりません。 もっというと、外部からの刺激を歓迎して成長に繋げる傾向がある一方、自分の「教育」や「価値観」を否定されるようなことには、生存本能に近いような形で、抵抗する衝動が芯から湧いてきます。 このように、人間には「可変」と「不変」の部分があることを学びました。 そのように考えるようになってから、「壁を乗り越える試練」を施すよりも、自然と「壁にぶつからない戦略」を考えるようになりました。 それで、再び立場を置き換えてみました。「ヨーロッパの壁」にぶつかっているのであれば、その壁を「乗り越える」のではなく、「避ける」方が有効だと。 自分が壁の向こうから来ているのだから、壁を乗り越える方法をみんなに教えていけばいいことだと思っていた当初の発想が、蛙に飛ぶ方法を教えようとするのと一緒だと。 そんな中で、自分が持っている唯一無二の経験とノウハウをどのようにしてイノベーションに繋げていけるのかについて、まだ回答は出ていませんが、少しずつ近づいているのではないかと思っています。 同じようにして、唯一無二のチャンスを目前にしている日本の若手選手が「ヨーロッパの壁」を乗り越えられなくても、世界に近づいていって頂けたらいいなと思います。
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  • 「ギア規制」の背景と根拠について
    1 December 2021
    「ギア規制」の背景と根拠について
    フランス自転車競技連盟(FFC)が昨日、2022年1月から、U17カテゴリーのギア規制を取り下げることを発表しました。U19の規制はすでに、2019年をもって解放していたので、U15を卒業すると、ギア規制が一切なくなるということになります。日本では、「ギア規制」のルールに対する認識が古かったり、浅かったりしているので、この記事ではギア規制の背景と根拠について述べたいと思います。 ギア規制とは何か?&その現状 自転車ロードレース競技においては、選手の年齢に合わせて「ギア規制」という、外部からみたら不思議に思うような仕組みが存在します。 日本の場合、U19(17、18歳)の選手は7.93m(52×14)、U17(15、16歳)の選手は7.01m(46×14)、U15(13、14歳)の選手は6.10m、U13(11、12歳)の選手は5.66mにギア規制が設定されています(一回転で自転車が進む最大距離のこと・ギアは700×23cのホイールを利用の場合、参考として)。 U19の7.93mに関しましては、UCI(自転車国際競技連合)が世界共通で定めている数値ですが、U17以下はUCIが管理しているカテゴリーではないため、各国のNF(自転車競技連盟)に任されています。そのため、国によって、大きなバラつきがあります。 例えば、ヨーロッパでは日本と同じ規制を設けているのはドイツとオランダのみです。 ドイツU17 : 7.01m(46×14)U15 : 6.10m(40×14) オランダU17 : 7.01m (46×14)U15 2年目 : 6.55 m  (46×15)U15 1年目 : 6.14 m (46×16)(オランダは、U15を更に二つに分ける仕組み) ここからは私の推測なのですが、日本は恐らくオランダ古代の規定をそのまま導入し、それ以降ずっと変更されずに今に至るということなのではないかと考えています。 一方で、フランスやベルギー等では、規定がまた違います。参考まで、現時点でヨーロッパ各国の規定を下記に記載します。 フランス(2021年まで)U17:7.62m(50×14)U15:7.01m(46×14)(私の時代では、U17は7.47m(49×14)だったが、2013年に変更された) ベルギーU17 : 7.32m(48×14)U15 : 6.40m(48×16) スイスU17:6.94m(52×16)U15:6.10m(46×16) イタリアU17:6.94m(52×16)U15:6.20m(52×18) デンマークU17:6.94m(46×14)U15:6.20m(42×14) そもそも、なぜギアを規制しているか? ギア規制が初めて導入されたのは1921年に開催されたスカウティングを目的としたトラック大会だったそうで、100年を超える歴史の長い措置です。当時から、規制の理由としてあげられているのは、「筋力(トルク)を重視した運動は負荷が高いのに対して、柔軟性(ケイデンス)を重視した運動は負荷が低い」という仮説があり、成長期に高い負荷をかけることが成長に影響をもたらすことが懸念されています。 そこから、人類の遺伝的や文化的な変化、機材メーカーの供給やカテゴリー分けの仕組み等に左右されてきましたし、一時期なくなったカテゴリーもありますが、若手選手を怪我や障害から守ること、伸びしろを担保してプロに上がるまでに「燃え尽きてしまう」ことがないようにすることを理由として、ずっと規制が行われてきたのが自転車ロードレース競技の長い歴史のひとつです。 フランス(及びUCI)でギア規制に対する考え方が再検討されている理由 ところが、ロードレース種目とトラック種目では100年以上の歴史のある措置であることに対して、マウンテンバイク、シクロクロスやBMXという、比較的に発展の新しい種目では規制が存在していませんが、特定の影響が観察されたことはなく、科学的な根拠が存在しないということで、近年はUCIをはじめ、ヨーロッパ各国はギア規制に対する考えを再検討しはじめています。連盟専任の医者の依頼のもと、「ギアを規制するより、ディレーラーの正しい使い方を教わった方がいい」という仮説をもとに、フランス自転車競技連盟が2019年にU19の選手6名に対する実験調査を実施したところ、規制されているレース(U19のみの場合)より、規制がされていないレース(大人と混走する場合)の方が、観察された最高ケイデンスが高い、という結果が明かされました。ようするに、ギア規制を設けることはそもそも、高ケイデンスでの運動を促しているわけではない、ということです。 その背景には、フランスは近年、トルク力が重視とされているタイムトライアル種目で世界レベルでの成績が悪かったことがあり、その原因の一つとして、ギア規制が挙げられていたこともあります。また、サッカーをはじめとする他のスポーツに見習い、自転車競技でも近年、ネオプロがプロ契約を結ぶ時期がどんどん若年化していることも注目されています。 この調査を受けて、2020年より、フランス自転車競技連盟の規定上、U19カテゴリーのギアを開放する方針を決めました。国際舞台では、UCIはまだ規定を改めていませんので、今年はフランス代表の選手から矛盾が指摘されることもありましたが、UCIも、U19カテゴリーに関するギア規制を取り下げることを検討していることを明らかにしています。そうなれば、UCIはU19のギア規制しか差がめていないわけですから、UCIの規定上、ギア規制のルールが一切なくなるということになります。 更に、U17カテゴリーに関しても、フランス自転車競技連盟が2021年12月31日をもって、ギア規制を取り下げることを発表しました。もともと、U17カテゴリーへの適応も検討されてはいましたが、コロナ禍で機材を手配するハードルが莫大的に上がったことが転換点だったとされています。今のところ、自転車関係者からは、批判の声が上がってます(FFCを含め、政府や有権団体に対する批判が盛んなのもフランス文化です)が、今年7月に東京オリンピックフランス代表GMとして来日したエマニュエル・ブルネ氏はこう説明しています:「トルク力の向上を目的とする運動は、健康に影響をもたらすどころか、選手の成長の一環として必要不可欠な要素であり、自転車だけではトルク力の強化が不十分であることまで科学的に証明されています」。
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