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2月 14 2020

時代の変わり目

日本最高峰の宇都宮ブリッツェンが歴史的なエースである増田選手の東京2020オリンピック出場枠獲得に向けて、クラウドファンディングを実施することを発表しました。UCIポイント獲得を目標に、海外のUCIレースを転戦するための支援を募集しているそうです。

実は先日、ツール・ド・ランカウイでステージ優勝を果たした中根選手の成績を見たフランス人の友達から「これで中根選手の五輪出場は決定だね」という連絡が入りました。「いいえ、日本の五輪出場枠はUCIポイントに基づいたナショナルフェデレーションによる特別ランキングで決定するんだ。むしろ、現状は中根選手の出場はかなり厳しい」と説明しましたら、「中根選手がいくら実力を見せても、コースの相性やコンディショニングは、五輪出場の選定の基準にすらなっていないってこと?」と。そうなんです。日本にとっては、五輪の結果ではなく、それまでのプロセスが全てですから。

むしろUCIアジアツアーの格下レースでポイント稼ぎを狙らっているこの現状を考えると、代表選手が確定した時点で日本ナショナルチームのオリンピックロードレースが終了するといっても過言ではないでしょう。

しかし、誰もが東京オリンピック自体を諦めた一方、「五輪に出場するため」の争いが日本のレベルを上から引っ張ってくれているのは事実です。業界の中では、過去1年間で例年より多くの変化が確認できましたし、これからの一年は競技状況や力関係が更に変動することが予想されます。中根選手率いるニッポはフランスのチームと契約を結び、方針をガラッと変えました。フランスと契約を結ぶことによって、別府選手を獲得でき、ナショナルコーチの浅田氏率いるエカーズもマルセイユ郊外に拠点を置くフランス南部のN1アマチュアチームと協調体制を強化し、それが石上選手の加入にも繋がりました。ニッポに関しては、ラ・トロピカル・アミサボンゴで別府選手の総合13位や、中根選手の優勝などもあり、その成果が既に出ています。また、いつも丁寧にアシストの仕事をこなしていた新城選手が自分からポイントを狙いに行く姿も確認でき、本気を出していることが良く分かります。そして増田選手率いる宇都宮ブリッツェンは、あくまでもポイント狙いとはいえ、初めて日本を離れ海外レースに出場するようになりました。新リーグの構造や実業団×学連の二重登録の実現等もあり、競技環境が大きく変化してきています。

但し、果たしてそれは日本国内の全体レベルの安定的な向上に繋がっていくのか?心配要素も少なくありません。日本国内の競技業界率いるJBCFが新リーグの発表を通じて積極的な姿を示しながらも、ボスの右京氏がオリンピック関連業務に専念していることもあり、レース数の急激な縮小が気になります。マウンテンバイク競技の大会会場として生まれ変わっている修善寺サイクルスポーツセンターが利用できなくなり、神奈川県の自転車競技連盟が県大会を中止せざるを得なかったり、予算縮小の関係で、ナショナルチームの強化指定選手も半分程減らされたりと、育成の底辺が非常に苦しんでいる現状です。果たして「底辺を拡げる」作業をなくしては「上から引っ張る」方法が成り立つのか?明らかに時代の変わり目に立っている中で、いかに2020年以降のことを視野に入れて時代の変遷を迎えるかが、新時代の展望を大きく左右しているでしょう。

サイクリングファンにとって、応援している選手が五輪に出場できるかどうかがいくら重要な話でも、自転車業界全体からすれば、誰が出場しても日本の弱さを見せつけられるに過ぎないことは間違いありませんし、いくらその戦いに力を入れても、自己満足以外は何の成果も生じないでしょう。

「ツール・ド・栃木」が発足された2017年まで絶好調だったにも関わらず、1990年の世界選手権を契機に発展してきた栃木県の「自転車王国」は、それまで県内で多く開催されていた大会の半分以上がなくなり、その多くの原因は「地元からの反響」「経済の不安定」だとされています。

そのうち、東京オリンピックの自転車ロードレース競技が山梨県と静岡県で開催されることが決まり、一般社会でも「自転車」に対しての関心が大きく向上しました。自治体が自転車の振興に力を入れるようになり、地域内でオリンピックを代表している自転車ロードレースの話題性が非常に高まっています。その状態を作った上で、いかに受け入れ態勢を整えられるかが、「レガシー」として五輪を引き継ぐ「自転車の聖地」の基盤になると考えています。

当時の栃木県「自転車王国」にはなかった、山梨県と静岡県ならではの強みは主に二つあります。

①は「一般社会を巻き込む力」です。1990年の世界選手権は、世界最高峰イベントとして、大きな前例を作りましたが、あくまでも「業界内での」最高峰だけであり、「一般社会を巻き込む力」は限られていました。オリンピックは、スポーツを超える世界規模のイベントとして、競技自体がマイナーでも、メージャーの効果を引き出せます。

②は「国際性」です。日本国内での戦いではなく、オリンピックだからこそ、「世界」視野に入れるようになっています。山梨県の場合は、自転車文化やホストタウン制度を通じて、特にフランスとの関係性が大きく全面に出ています。日本では

これからは栃木県に変わって、富士山地域が新たな自転車の聖地になるだけではなく、「一般社会を巻き込む力」と「国際性」を上手くマッチさせることが出来れば、山梨県と静岡県の取り組みをきっかけに、自転車ロードレース競技がメージャースポーツになる将来が見えてくるのではないでしょうか。

1 comment

  1. francis

    En Français svp !!!!!

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