«

12月 02 2018

日本転車競技の強化:期待も課題も…

昨日、日本国内自転車競技の最高峰を管理するJBCFが、来年の大会スケジュールおよび今後の方針について発表会を開いていた。私はもちろん、いつもどおり意見を持っているということで、今日のブログに感想を簡単にまとめよう。

参考:https://www.cyclesports.jp/depot/detail/106937

楽観的に考えている部分

日本に来て最初の頃は、数多くある日本の裏的事情は全く知らなかったこともあるけど、正直なことをいうと、加盟時にチームが100万円の登録費を払わなければならないということは、世界で走っている選手にとってはあり得ないことだという事実を是非知って頂きたい。それは、当時の自分だけ思っていたことではなく、日本で自転車競技に関わる現場出身の外国人の人が全員思うこと。それが、来年から200万円と培に値上げすると考えると、成り立つシステムには思えない。
しかし、まだ日本に3年半滞在していない自分にでも、今になって変化が感じられる。2016年、チームの代表として発表会に出席したことがあるけど、当時に理事会から聞いた説明の中では、当時の自分の常識(ヨーロッパ基準)で「正しい」と思えることは一つもなくて、「日本を導く人って、こんなにひどいんだね」というのが当時の感想だった。ところが、去年に理事会のメンバーが完全に入れ替わって、現状を疑っている方が入ってきたことだけでも、大きな進歩だと言えると思う。
「楽観的にっていうのは、これかよ??」と思われるかもしれない。だけど、全面的に反対だった当時の自分には、今になって賛成しているところが少し増えてきた。距離を伸ばす部分だったり(JPTは別)、エリートとJPTの差を詰める部分だったり、簡単に確保できる会場を使いこなすことだったり(修善寺~群馬~広島もそうだけど、他にもたくさんあるわけだから、その辺りは更に増やしてほしい)、地域密着化の動きだったり、そして特に世界へと繋げていきたい意思(今までは全くなかったわけだから)というところには少し希望が見えてきている。
その上で、中長期的な方針として、「新リーグの設立」を考えている部分に非常に期待している。日本の自転車競技業界には課題がたくさんあるけど、その課題を簡単にまとめたら、「協力不足」だと思う。連盟がいくつかあって、それぞれの方向で動いていて、全く盛り上がらないのが日本の現状。学連にはお金もあるし、歴史もあるけど、未来はない。JBCFには盛り上がりがあるけど、育成が出来ないし、影響力が競技の一部に留まっている。JCFは、UCIの下部組織として、影響力があるし、世界の部分では完璧な位置づけだけど、レースを開催していないし、JBCFとの協調関係は怪しい。合併まで行けるかどうかは分からないけど、その上に更に強い関係を結びつけるぐらいの組織を作って、ようやく力をまとめる必要がある。

悲観的に考えている部分

しかし、明らかに勘違いしていると思っているところもいくつかある。納得いくぐらいの文章にまとめる時間も言語力もないけど、なるべく簡単で分かりやすく説明してみる。

・「JPTのレース距離を伸ばす必要がある」

私は逆に、それはあまりいじらない方が良い要素だと思う。なぜかというと、実際ヨーロッパもJPTも先頭で勝負した経験がある者として、走り方や集団の動きやレベルの違いが良く分かっているけど、ヨーロッパに比べてJPTの大きな特徴は、「密度が低い」という点。「レベルは、ヨーロッパのアマチュアレースの方が高いだろう」という話を良く聞くけど、それはない。JPTで優勝するには、実力的には(細かく言ってワット的には)同じぐらいの数値が必要になっている、むしろJPTの方は上位のレベルが高い場合もある。しかし、その割には、レベルの差がとても大きくて、レース会場が変わったとしても、順位争いをしているのはいつも同じ選手、同じチーム。それだと、とても面白くないでしょう。
更に、ヨーロッパのレースでもそうだけど、距離を伸ばせば伸ばすほど、その差が開くし、レース展開がない場面が伸びるだけ。
要するに、JPTの強化に必要なのはレースの距離を伸ばすのではなくて、レースの回数を増やすこと。それは、現場の選手に誰でも聞いても、意見が同じだと思う。
簡単に説明すると、基本的には疲労=強度x時間。レースの距離を伸ばすと、時間も強度も上がる。つまり、距離の長いレースが一番疲労が付く。だからと言って、強くなるわけではない。強化というのは、時間と強度を合わせて行うことではなくて、別々で行うこと。(日本の部活では違うかも分からないけど、世界最高峰の選手はみんなそのようなトレーニングを組んでいる。本当は基本の基本であるはずだけど。。)
コースによって100kmから150kmに増やす分にはいいと思うけど、全日本選手権のように200km以上のレースを開催するのは時間の無駄。ヨーロッパのプロレベルですら200kmを超えるレースは実際にそんなに多くないし、やっぱりレベルが大きく違う。それを、正しく評価してほしい。

・「Jリーグ(または宇都宮ブリッツェン)を参考にみんなで頑張ろう」

Jプロツアーは、Jリーグのような発展を目指していることは明らかなことだけど、サッカーの場合に成功した取り組みと自転車競技の特徴はなかなか合わない。サッカーは、部活活動を頼りにして、プロ選手へと道をスムーズに作っていけるし、観戦客が増えることでお金が直接入ってくるし、強化に問われる要素はお金があれば簡単に集めることが出来る。自転車競技はそうでもないことは、理事会も十分に理解していることだと思う。だったら、もっとしっかりJリーグの取り組みを参考にした方針を、疑問に思った方が良いと思う。やったことがないから分からない、というのは分かるけど、それは日本の成功例だけに留まる場合のことだけであって、世界の自転車競技の事情をもっと見ればいいだけのことだと思う。それでも分からない場合は、トラックがやったように、海外から指導者を入れて、しっかり意見を聞いた方が良いだろう。ただそうなると、現在自転車競技業界の中で主導権を持っている人たちが主導権を失う状況になるから、結局はやらない、という事実もあるだろう。
宇都宮ブリッツェンの取り組みは確かに、とても成功しているし、参考にすべき部分(個人的にも参考にしている部分)がたくさんある。だけど、宇都宮ブリッツェンなりの課題もまだたくさんあって、全面的に真似をするのが大きなな勘違い。各地域なりの特徴があって、観光地であろうか、地方であろうか、都会であろうか、それぞれのやり方があるのは先ず一つ。私は、東京ヴェントスで運営面に関わったこともあるけど、東京なりの課題の部分に良く理解していないかな、というのが個人的な印象だった。そして、宇都宮ブリッツェンは「世界を目指す」とは言っても、現実的には世界との繋がりは全くなく、日本国内にとどまっている。今のところでは、JPTからワールドツアーで戦えるようになった選手は一人もいないし、日本市場を狙う大きいスポンサーがアピールしてくれない限り、そのままだと変わりそうにないことだ。世界を目指すには、宇都宮ブリッツェンが率いるJPTで提供しているスケジュール、ノウハウ、環境とは別なものが必要だから。
キリがある話ではないので、無限に続けられるだろうけど、今日は時間が足りなくて、ここまでにしよう。自分が出来る範囲のことだけど、日本の自転車業界を日々の努力で少しずつ、より良いものにしていけるように頑張りたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次の HTMLタグおよび属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>