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5月 28 2018

外国人選手の意見 第9回

(c) TOJ2018

ゴールスプリントで起きる落車:どうすれば避けられる?

 

昨日、ツアー・オブ・ジャパン東京ステージを観戦してきましたので、そのついでに、オープニングレースとして行われていた実業団レースで先月までトレーニングを指導していた若手選手の走りも見てきました。しかし、出走していた3人全員落車の影響を受け、そのうちの一人は骨折の恐れもあるなんて酷い結末となりました。落車の事情についてはなんとも言えませんが、色々とまとまらない話を聞いたり、読んだりして、決して軽視できる話ではないので、少し整理をする必要と感じました。

TOJのプロ選手たちが120キロにわたり回り続ける7キロの周回コースを利用し、9時15分からアマチュアの選手たちを集めているE2クラスターとE1クラスターの2レースが、それぞれ3周回(21km)と4周回(28km、最終的にE2と同じく3周)にて競われました。2レースとも逃げができないまま、ゴールスプリント勝負になり、ラスト1kmで大落車が起きました。そのあと、多くの観戦客が訪れたTOJの東京ステージでは、何の落車もなく熱いレースが無事に開催できました。

実は、コースを見たとたんに、「それは絶対に落車する」と予想していました。間違いたかったですが、案の定落車が起きてしまいました。

 

要素1:競技者の技術が問われる。選手側は責任感を忘れてはいけない。

勿論、そう考えると、一番最初に思い浮かぶのは、選手の技術の差。「プロ選手は走り方が正しいからスムーズに勝負できるけど、アマチュアの選手は基本すらできていない上で命にリスクを負ってまでレースしている当然の結果だろう」なんて読んだり聞いたりしました。そして全ての原因を調べようともせずに、身体傷害が多く発生していることから自転車競技が危険なスポーツだと結論を下す、「安全第一」にこだわっている日本の警察もいます。(それが良いか悪いかを別として)

それは間違っているとは言えません。しかし、それを落車のたった一つの原因にするまでは、結論付けが少し早いと思います。選手側の責任があるのは否めないことですが、他にも原因がないか、改めて考えてみましょう。

 

要素2:位置争いに関われる人数に限界がある

もう少し考えてみると、スムーズにいったTOJのゴールスプリントとアマチュアのゴールスプリントは、技術以外にも違いがたくさん見つかります。先ず、チームが組織的に動いていることで、狙いに行く選手は各チームのエーススプリンターに絞られています。早い段階から、各チームの位置争いが激しいですが、ラスト1kmに入った時点で、勝負に関わる選手が既に減っている状態です。つまり、最後の直線で全選手が同時に上がろうとするのではなく、位置取り争いに関わっている人数がラスト5~10kmに渡りスムーズに配分されています。

従って、組織的に動いていないアマチュアレベルでは、どうすれば位置争いの密度を減らせるのか?というのが正しい質問だと思います。

 

要素3:コーナーがあると、集団が伸びる

先ずは、危険なコースはそれで危険ですが、コーナーがあることによって、集団が伸びるので、密度が減ることにも繋がります。逆に言うと、コーナーのない、道幅の広いホームストレートの方が安全だと思うかもしれませんが、道幅が広ければ広いほど番手を上げる余裕が出るので、番手を上げる動きをする選手の人数が増えます。そうなると、集団の緊張感が増えるので、落車の可能性が上がります。それに関するリスクを下げるには、大人数のスプリント勝負になりそうな場合は、ラスト2キロ辺りで道幅が狭い区間を入れるのが良いかもしれません。

 

要素4:力の差が少なければ少ないほど、集団の密度が高い

選手の技術が上がれば上がるほど勝負が安全と思うかもしれませんが、実は世界最大のレースであるツール・ド・フランスも同じく、集団の密度の問題で第1ステージのゴールスプリントでの落車の比率が圧倒的に高いです。それ以降のステージでは、密度が少し減ることで、スプリントでの落車の比率が減る傾向があります。第1ステージでは、全ての選手はフレッシュな状態で最後の勝負に入るので、「チャンスだぞ」と考える選手が多いからです。距離や難易度を上げることで、色々なレース展開が生まれます。集団スプリントで勝負が決まることが確実ではないので、逃げを狙う必要が出てきて、大集団のスプリントになった場合でも、最後の勝負に関われる選手が少なくなります。

 

まとめ:とういうことは、どうすればいい?

JBCFのレースの場合でも、草レースの場合でも、上記のことは全く考えていない気がします。技術の足りない選手を、21キロしかない、テクニカルでもない、道幅が広いコースで競わせるのは、落車が生まれる可能性が圧倒的に高いのです。難易度の低いレースは距離を60km以上に持っていかなければ、展開がなくて力の差がないままゴールに突っ込んでしまうので、落車に繋がる責任は主催側が負うべきだと思います。21kmのレースだけで、集団走行の経験が積めるわけではないので、同じ問題が繰り返されるだけです。

しかし、選手側も責任感が全くないようです。単にロードレースとは何か理解度が足りないからだと思います。それも、学べる環境が揃わない限り、なかなか改善が見込めません。選手に、現在どのような環境を揃えているか、それが本当に良い環境なのか、考え直すべきところがないのか、自転車競技界を管理しているJCFとJBCFに考えて頂きたいところです。

 

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