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3月 02 2018

外国人選手の意見 第8回

先日、沖縄でJプロツアーの開幕戦に参戦してきました。(レースレポートはこちら、チームのレポートはこちらこちらです)

当会場での初開催、そして沖縄での初開催ということで、Jプロツアー及び国内の自転車ロードレース業界にとっては、自転車ロードレースの幅を広げるという意味では大きな進歩が出来たと言っても過大ではないでしょう。

一部公道を利用したコースでこんな質の高い大会を無事に開催できたのは、多くの関係者やボランティアの方々の動力の結果なので、先ずはこのイベントを実現することに貢献した関係者の方々に感謝しなくてはいけません。沖縄には、参加したことはないが好評しか聞いたことがないツール・ド・沖縄がありますが、ツール・ド・沖縄だけで自転車に対しての理解度を上げられているかというと、そうではないので、この2つの全国規模の大会の元に、沖縄でレーススケジュールと言えるぐらいのものが少しずつ発生し、県民の理解度も上げていくという好循環に繋がることを願っています。

但し、この開催が出来たのは当然、とても幸いなことだといえども、主催側の動力とは関係なく、大会の質に悪影響を与えた点、または自転車業界の発展に繋がったとは思えない点もありました。良かった点は良かったということで、この場では弱点にフォーカスさせて頂きたいと思います。

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安全対策が危険を加えるという意外な矛盾

4.5kmの周回コースの中では、両側に深い溝がある区間がありました。そこにホイルが挟まらないように、全面両側に工事コーンが並べていて、集団走行では非常に危険でした。そして溝のところだけでなく、工事があった区間にも(工事のことは別にして)、全く何も問題ないはずだった登り区間に入る手前にもコーンが多数置いてありました。幸い落車はありませんでしたが、特に短距離で集団の緊張感が高かった一日目では、落車に繋がりそうな動きを何回か見かたし、オンボードカメラにも何回か映っています。

恐らく、「溝に落ちるよりはコーンにぶつかるのがまだマシだから、ないよりはあった方が良い」という考えでしたが、実際に集団走行を知っている人は、そう思えません。溝がある場合は、勿論そもそも横に余裕がないので危険ですが、コーンの場合は、コーンがあるところもないところもあって、集団で走っている選手はコーンがないところ(次のコーンまでの間)を使いがちです。そうなると、次のコーンにぶつかりやすくなります。そして、溝と違って、コーンが真っすぐ並べているわけではないので、先が見えない集団走行では、コーンの位置を予想することが出来ません。特に、コーンに当たって動かしてしまうこともありますから。また、コーンにぶつかったからと言って、溝にも落ちるリスクがないわけではないし、大落車に繋がる危険もあります。

ただ、主催側が危険なことをしたということではありません。恐らくですが、主催側、またはJBCFの中には集団走行の経験がある方もいらっしゃると思うので、コーンを置いた方が危険だと思った方はいたと思います。しかし、溝があるから危険なので、何か対策をしないと開催をさせられないと、警察からの声があったのが原因ではないかと思います。

その場合、「参加者の安全」よりも、警察が「何かあった場合の責任」を考えたのではないかという気がして、そういう考え方は本当に正しいのかというと分かりません。(または警察が集団走行においての危険~安全を理解していないのも原因かもしれませんが、その場合は知識のある方に頼ってほしいところです)

ロードレース大会の開催に限らないことだろうと思いますが、公道が当然なフィールドになっている自転車ロードレースの発展においては、警察の理解度(ということは社会の理解度)がまだとても低いことが分かります。

今回は「ロードレースでは何が危険、何が安全」に関しての知識不足という意味での理解不足の話ですが、「ロードレースには社会に対してどんなメリットがあるか」といった点等にも理解して頂きたいところもあります。

(c) Shu Kato

(c) Shu Kato

まるで予算順の着順となった今大会

沖縄で開幕するということで、気温が暖かい、合宿と合わせられる、新たな環境で走れるという、様々なメリットが生じます。しかし、そんなメリットには価格もあります。本州での遠征よりは、航空券、レンタカーまたはフェリー等の出費が加わり、3倍ぐらいかかるといっても過大ではないし、2019年からチームの負担が増える(こちらを参考に)と考えると、ほとんどのチームにとっては今回の大会に参戦することが軽視できることではない、むしろ危険なことです。

簡単に表すと、フールメンバーで参戦したのは宇都宮ブリッツェンのみです。那須ブラーゼンとシマノレーシングは1人の選手が怪我を治療しているため7人の出走でしたが、それとブリヂストン以外全てのチームは最低限の出走人数での参戦(ヴィクトワール広島、私たち東京ヴェントス)か、選手負担の遠征にすることを決めました。更に、単純に参戦しないことにしたチームも多数ありました(リオモベルマーレ、キナンサイクリングチーム、去年首位のマトリックスパワータグ)。公平性という意味では、満足できる状況ではないでしょう。

そもそも各チームの中で体力の差が大きい日本のプロ?チームを集める大会ですが、更に金銭的な負担をかけて人数の差も拡大させると、スタート前から展開も着順もほとんど決まっている大会になってしまいます。フールメンバーで参戦していたチームが一日目は8位まで、2日目は6位まで上位を独占しました。その中でも、2日とも着順が予算順になっています(ブリッツェン、ブリヂストン、シマノ、ブラーゼン)。Jプロツアーは、「栄光のジャージを掴む為に、すべてを懸けたJライダーのドラマ」と誇っていますが、今回は大規模のチームが小規模のチームを潰している他にドラマが見られませんでした。

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国内しか目指さないと、海外しか目指さないチームに別かれつつある日本国内トップチーム

先週末で気になったことがもう一つありました。国内最高峰を誇っているJプロツアーには数多くのチームが参戦しないことを決めた中、同会場で開催されていたオープン参加の市民レースには学連首位の鹿屋大学、アジアツアー1位を目指している愛三工業レーシングチーム、そして全日本チャンピオンまでの参加があったことです。

所属しているチームが登録していないからそれは当然の結果、と言われると思いますが、実は2~3年前は日本のトップチームにとって日本のトップリーグのJプロツアーに参戦することが当たり前のことでしたが、現在はそうでもない、むしろ更にそうでなくなる傾向があります。

今大会だけでいうと、日本のトップチームの中では参加していなかったチームが以下の通り:

・Nippo-Vini Fantini(特別枠)不参加 (未登録)
・Team Ukyo  不参加 (未登録)
・Kinan Cycling Team 不参加
・Bridgestone Cycling 参加
・Matrix Powertag 不参加
・Utsunomiya Blitzen 参加
・Aisan Racing Team 不参加(未登録)
・Shimano Racing 参加
・Interpro Stradalli Cycling 不参加(未登録)

勿論、本州に戻った時点で参加人数が少し増える予想ですが、今回は負担が少しだけ上がった結果なので、2019年以降チームの負担が2~3倍上がると考えると、そしてJプロツアー登録に関わる出費が合計500万円に近い割にUCI登録が80万円「だけ」にという状況になると考えると、国内で戦いたいチームと海外を目指しているチームの2組にはっきり別れていくのではないかと思います。

そうなると、トップPでないチームが登録できなくなることに加えて、登録費の増額が登録チーム数の落下に繋がって、発展する代わりに崩れてくるパターンがとても見込めるのではないかと強く思っています。

先のことは分かりませんが、2019年の登録期間までは約8ヶ月しか残っていないし、2月下旬はこんな現状です。

Jプロツアーが考えている方針には意味があることは理解できますが、こんな現実もあること、そしてこんな考え方もあること、ということに気づいて頂きたいです。じわっと発展してきている日本自転車界ですが、基盤がまだできていない中、最高レベルばかりではなく、ピラミッドを支えている基本レベルや将来の選手を育成している小規模のチームを見捨てずに発展させていきたいと思います。

前回の記事(2019年からの新規定について)はこちらでご覧頂けます。

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